やさしい眩暈
私はまた笑みを作り、「大丈夫」と返す。

でも、頬がひきつって、うまく笑えていない気がした。


ルイの表情がみるみる険しくなっていく。



「大丈夫だって。ただ、なんとなく外見てただけ」



私は窓の外に顔を向け、駅前の商店街のあたりを指差す。



「ほら、クリスマスの飾りつけ始まったなー、なんて思って」


「………」



ルイはちらりと外を見てから、再び私に目を向けた。



「レイラさん―――ちょっと」



ルイがお客さんに見えないように小さく手招きをした。


私は拒否するように首を振ったけれど、ルイが有無を言わさぬ口調で「レイラさん」と繰り返したので、仕方なく従う。


ルイは客の動きが落ち着いているのを確認すると、私を導いてキッチンの奥に入った。



「レイラさん、気づいてないのかも知れませんけど、顔色ひどいですよ」



私は首を傾げて「そうかな?」と首を傾げて微笑む。



「そうですよ。真っ青です。調子悪いんでしょ?」



ルイの口調がきつくなってきたので、どうしたものかと困っていると、店の入り口のドアが開く音がした。


私はルイを置いて店に戻り、「いらっしゃいませ」と声をかける。



「ほら、ルイ、お客さん。早く戻って」



ルイは不満げに顔を歪めたものの、素直にキッチンに立った。




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