BLUE‐PRINCE





「ただいま」



マンションの部屋のドアを開けると、母さんが駆けてきた。



「おかえり、葵。ご飯食べる?」


「お腹へった」


「ふふ、分かった」



クスッと笑う母さんは、やっぱり朱架に似ている。



「父さんはまだ帰ってきてないの?」


「蓮央ねー……出張で、一週間くらい帰って来ないんだって」



母さんはさみしそうな笑顔を浮かべる。


好きな人に一週間会えないって、やっぱり淋しいものなのだろうか。



「母さん」


「なぁに?」



僕に背を向けたままご飯を作る母さん。


あぁ、やっぱり朱架に似ている。


家に帰ってまで朱架のことを考えてしまう僕はおかしいのだろうか。


一人の人間のことが、頭から離れない。


この気持ちを……確か、クラスの女子は『恋』と言っていたっけ。

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