腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ

その21。ツカサ

僕の部屋に来て、6日目。
ウサギは時折、立ち止まって、涙を流したり、夜中に起き上がったり、
という事がだんだん少なくなってきた。
随分と、落ち着いてきたかな。
よく笑うようになったし、雑誌を読んだり、テレビを見たりして
のんびりくつろいでいるみたいだ。僕も
一緒に料理を作ったり、短いドライブをしたりして、
一緒にいるだけで楽しい。
ウサギとのこんな生活が永遠に続くと良いけど、
あんまり、無防備な態度で、僕を見つめたり、笑いかけてきたりするので、
僕の理性は悲鳴をあげそうだ。


今日は映画を観て、外食しようと提案する。
あんまり、部屋の中にいるとオオカミが顔を出しそうだ。
ウサギは無邪気にどんな映画を見ようかと、
考えているみたいだ。
今日は少しだけ、ゴージャスなデートにしよう。
港の街の背の高いホテルの68階にある、鉄板焼き屋を予約しておいた。
ウサギはステーキと、海鮮とどっちが好きかわからないから、
半分ずつ分け合って食べようと、2つのコースを予約しておいた。
ウサギの好きな乗り物も大きな観覧車が目印の遊園地に少しあったはずだ。

明日はリュウに夕飯に誘われているし、(きっと、ウサギの様子の確認だ。)
夜にはウサギを寮に送っていかなければいけない。

僕らの同居はほんの短い間だった。
少しでも、ウサギの心に僕は入れただろうか?
僕はこの後はちゃんと、恋人として付き合いたい。
ウサギの両親にもちゃんと挨拶をしておきたいって、
(きっと、すごく反対されるだろう)
そう思うようになっている。
< 98 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop