Bu-KIYOびんぼう ~幼なじみと不器用な約束~
「なんで暗い顔すんの?」


答えられない。

そっちだって、学校で別の女の子と仲良くしてるんじゃないの?


…なんて。

そんなこと言っても仕方ない。


「なんでもない」

「なんだよ?」

「なんでもないよ」


タケルくんが、私を壁際に追い詰めた。


「頼むから、俺を見て」

そこで辛そうに言葉を切った。


「今でも…正賢に通ってる夢みるよ。夢の中ではキヨとまた同じクラスで、今度こそ公認のカレシで…なのに、キヨはこっちを向かない。目が覚めると、すごく空しくなる」


初めて聞いた…。

そんなこと言ったことなかったのに。


「だけど、俺は別の学校に行ったこと後悔したくない」



涙が出そう。



後悔なんてさせたくない。

だけど、やっぱり同じ学校で居たかった。


同じ学校…?


どっちにしても私はまだ中等科。

タケルくんは高等科だった。


全部、自分が招いたこと。


なんてバカだったんだろう。

人生は戻れない。



そうだ。

この瞬間も…もう戻ってこないんだ。
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