初恋の甘い味
「……が……で……だから……」
「どうしてこうなるの?」
「これをこうして……」
「あ!そっか。わかった!」
こんこん
「どうぞ」
ガチャ
「あの~…、お時間が……」
控えめにドアがノックされたと思ったら顔を覗かせたのは住み込みで働いてもらっているメイド。
ふと時計を見ると6:30だった。
もう、そんな時間か…。
「わかったわ」
私が頷いたと同時にメイド達がぞろぞろと入ってくる。
「お着替え、お手伝いさせていただきますわ」
一斉に私の服を脱がしにかかり、着替えさせられ、化粧を施された。
気づけば守山は忽然と姿を消していた。
数十分で支度は終わり、私は別人へと生まれ変わったかのような仕上がりだった。
これが私だとは自分でも信じられない。
メイド達は口々に褒め称え、歯の浮くような言葉ばかりをつらつらと並べ立てる。
そのときちょうどドアが叩かれ、守山が入室してきた。
私を見た瞬間に固まる。
心なしか顔全体が赤いような…。
メイド達はニヤニヤしていたが私にはさっぱりわからない。
失礼な奴ね。人の顔見て固まるなんて。
そんなに私、変?やっぱり似合ってないのかな…。
「私、似合わない…?」
「い、いえ!!そ、そんなことは……!!」
私が不安そうに聞くと慌てて首をぶんぶん振る。
そ、そんなに振らなくても。
首、もげそうなんですけど。
どうしたんだろ。守山、いつになく童謡してる。
いつもなにかトラブルがあっても冷静沈着に解決してめったに感情を表に表さないのに…。
「守山、どうしたの?今日の守山、おかしいよ。いつもと違う。なんかあったの?」
守山の顔を覗き込み尋ねても、顔を赤らめて目を反らすのみ。
…へ~んなの。