時代を越えて、恋人になっちゃいました。
あの事件ったって、俺にとっちゃ大事だけど、周りのやつにとっちゃ、そうでもないことなんだ。
小学校高学年の頃の話だ。
その日、俺はミニバス、蒼空は剣道があったから帰りに学校のそばのスーパーで待ち合わせて一緒に帰る約束をしていた。
たまたまその日練習が延びて、慌てて俺はスーパーに向かっていた。
すると、その途中の裏路地で怒鳴り声が聞こえてきた。
なんだ? と思ってみると、そこは今にも喧嘩になりそうな雰囲気だった。
ガラの悪そうな高校生5人が誰かを囲むようにして立っている。
「てめぇ、何考えてんだよ」
「俺らにぶつかっといて、謝りもしないのかよ」
どうやらその5人は真ん中のやつにいちゃもんをつけているらしかった。
関係ないし、早くスーパーに行こうと歩きかけた時、耳に馴染んだ声が聞こえた。
「こんな狭い道をそんなに広がって歩いてる方がおかしいわ。道は1列または2列で歩きましょうって小学校で習わなかったの? 」
なんと、真ん中のやつは蒼空だった。
今より幼い顔の眉間にぎゅっとしわを寄せて、高校生たちを睨んでいた。
「何やってんだあいつ! 」
俺は驚いてすぐに飛び出そうとした。
しかし、踏みとどまった。
まず、怖かったからだ。
さすがにあそこまで体格差のある人たちを抑えるのは俺でも無理だ。
じゃあどうするか。
考えつつ、蒼空たちのやり取りをハラハラしながら見守っていた。
頼む、喧嘩にならないでくれ!
そんな俺の願いも虚しく。
「てんめ、ふざけんな! 」
とうとう喧嘩に発展してしまった。