不思議能力連続日記(1話読みきり短編)
そのまま庭に出てブロック塀の上にそれを置き、すぐに家の中に入ろうと踵を返す。


「待って」


突然背後から低い、くぐもった声が聞こえた。

振り返ってみるけど誰もいない。

気のせいかとドアノブを掴むと、今度はもっと大きな声がした。


「こっち。あなたが今連れて来たものです」


今連れて来たもの?

私は玄関の照明の下、ぬらぬらてらてら光るナメクジに視線を向ける。


「そうそうこっち。どうも助けてくれてありがとう。塩をかけられていたら元の姿に戻れなくなるところでした」


ナメクジはそう言って立ち上がる。

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