美しいだけの恋じゃない
『必ず未開封の箱を一つはストックしておきましょう』という決まりなので、すでに封が開けられているそのフレーバーも、それぞれ一箱ずつ頼んでおかなくてはいけないだろう。


そんな風にあれこれ考えながら、品名だけすでに印刷されている専用の伝票に必要数を記入していった。


……何だか今週はかなり大量発注になってしまったな…。


最後、依頼主がどの部署の誰であるかを明らかにしておくため、所定の位置に『営業一課/須藤』と書き込んだ所でしみじみ思う。


タイミングによってはこうなってしまう場合もあるよね。


ちょうど色々な物が、一斉に残り少なくなる時だったんだから、仕方ないよね。


そう自分自身に言い聞かせつつ、食器棚の下部の棚に収納しておいた紙袋を取り出し、中に伝票を入れて、それを手に4階の庶務課を目指す。


出入口付近に設置してある箱に紙袋を入れ、すぐにその場から立ち去った。


来客時のお茶汲みは新人が率先して行うので、動き方を勉強しておいた方が良いだろうという事で、営業一課に配属された直後、さっそくお茶当番が回って来た。


その時、やはり教育係の佐藤さんが私に付いて色々教えて下さって、ここにも案内していただいたのだけれど、ちょうど部屋の中から出て来た女性に、反射的に『よろしくお願いします』と声をかけたところ、お叱りを受けてしまった。
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