美しいだけの恋じゃない
お三方は定期的に退社のタイミングを合わせ、食事や飲みに行っているようだ。


『どうせ家に帰っても一人だし。それにちょっとだけ料理作って、その後食器だの片付けるのって、すんごい面倒よね』


以前師岡さんがそう発言していた。


待ち合わせ場所として、たいていは営業部のある3階の化粧室や給湯室が使われていた。


庶務課は4階なので、金子さんが下に降りつつ師岡さん山本さんと合流した方が合理的だからそう決まったのだろう。


しかし、ついつい本来の目的を忘れてしまうのか、はたまた事前に店を予約していて、その時間に合わせて調整しているからなのか、しばらくその場から動かず何やかんやと語らっているのであった。


同期であるという事も大きいのだろうけど、このお三方はとても波長が合うようで。


「でもさ、時代は変わったよねー。普通、先輩が洗面台使ってたら遠慮しない?」

「そうだよね。後から来たくせに『すみませーん』とか言って私達にスペース空けさせて、そのまま堂々と化粧直し始めたからね」

「あの子達、確かまだ3年目くらいでしょ?私達がその年代の時にはとてもじゃないけどそんな事できなかったけどねー」


こんな風に誰かへの不満や、そしてどこからどのように仕入れて来るのか、自分達の課はもちろん、別部署の社員の噂話に花を咲かせていた。
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