美しいだけの恋じゃない
そして部署によっては男性は外回りに出かけてしまう日が多々あるということ、更に、そういった業務にはやはり不向きであるだろうという事で、お茶当番のシフトに組み込まれているのは役職に就いていない女性社員だけであった。


しかし、その役割分担に対して私は別に不満には思っていないし、今まで見聞きしてきた限りでは他にも異議を唱えている人はいない。


お茶当番が免除されている代わりに、男性陣には日々の業務の中での力仕事、年末の休みに入る前の大掃除等での重労働を担当してもらっているのだ。


だから『差別』ではなく、あくまでも仕事の流れを考慮した上での妥当な『区別』であると思う。


ドラマや小説で良く見かけた、自分は別にそのタイミングで飲みたいとは思っていないのに、上司や同僚の為にわざわざ仕事の手を休めてお茶汲みをしなくてはいけない、というような、一昔前のシステムが採用されている訳ではないので、それだけわが社の女性社員の負担はかなり軽減されていると思っている。


それでもやはり、朝一でイレギュラーな雑用をこなさなくてはいけない事に変わりはなく、その処理が始業時間までにきちんと完了できるように、お茶当番の日は皆念のため、普段よりも早めに出社するのであった。


会社に着き、ロッカールームでケータイとハンカチを歯磨きセット等が入っているトートバッグに移しかえ、それを手に、ひとまず営業一課を目指す。
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