キミの首輪に、赤い糸を。
「真白...?」

「...寂しかった、ほんとは、ずっとずっと、言いたかった...。ほんとは、どこにも行って欲しくなかった...っ」


自分の存在が如月さんを壊す。
だから自分の気持ちを押し殺して、一人で強がって。

だけど、本当は一人は嫌で、如月さんに一緒にいてほしかったんだ。


「...ごめんな、真白」

「ばか...きさらぎのばか...っ」


如月さんのことを軽く、だけど何度も叩く。

それを、如月さんは優しい表情で見ていて、真白の頭を撫でていた。

真白が、一番子どもに戻った瞬間に見えた。

年齢は同い年。

だけど、失った記憶の分だけ、真白は大人になることを強いられてた。

だから、こうやって甘えることも、お願いをすることも、出来ないままだったんだと思う。
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