キミの首輪に、赤い糸を。
如月さんはそのままふらりと家を出ていってしまった。

私は途方にくれたままリビングに戻る。


「か、ずさ...?」


真白がゆっくり起き上がる。


「あ、起こしちゃった?」

「ううん。大丈夫」


ふわぁ、と一つ欠伸をして、真白は私にすり寄る。


「あ、きさらぎ、帰っちゃったの?」

「うん。今帰ったよ」

「そっかぁ」


真白は私を頼ってくれていた。

でも今は、守れる気がしなかった。

自信がない。

それが本心だった。


「和咲、元気ない?」

「ううん。平気」

「嘘だー。僕分かるよ?和咲、いつもと違う」


...私のことが分かるなら、如月さんのことも分かるんじゃない?

今、如月さんがどんな気持ちでいるのか分からない?

私には、分からない。

真白には、分かるんじゃないの?


「...きさらぎとは違って、和咲は分かりやすいね」


真白は、私の心の中を読んだかのようにそう言った。
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