キミの首輪に、赤い糸を。
「...お母さんが、戻ってくるなって言ったの」


ある日、男の子は泣きそうになりながらそう言った。

夜、一緒に寝るために戻っていたのに、戻ってくるな、と。

...それは、ヤバイかもしれない。

コイツを突き放そうとしている。

つまり、コイツに何かする気なんじゃ?

俺は泣きそうになっている男の子を置いて部屋を出た。

そして、寝室のドアに耳を密着させ、神経を集中させた。


「...ねぇ、そろそろ仲良くなったかしら」

「さぁな。でももうかなり経っただろ。そろそろいいんじゃないか?」

「やっと楽になるわ。あの子、いつも泣きながら謝ってきて正直イライラしてたの」

「そうか?俺はそういうヤツの方が好みだぜ?泣き叫んで謝ってくれた方が、殴り甲斐がある」


...とことんねじ曲がったヤツ。

このままだと、アイツは殴られて、泣かされて。
華奢で白いあの体に、たくさん傷をつけられるんだろうな。

そう思うと、気分が悪くなった。
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