キミの首輪に、赤い糸を。
「ほら、なんとか言ってみろよ」


体に痣が増えていく。
擦り傷も、切り傷も、刻まれていく。

それは真白も同じで、真白の体も日に日に傷だらけになっていった。


「やめてよ...っ痛いっ」

「離せよ...真白を離せ!」


小さな部屋に響く、俺らの声と、耳障りな父の笑い声。


「痛い...嫌だっ」

「真白...っ」


真白と父の間に立つ。


「そんなにコイツに情が湧いたか」

「...知らねーよ。でも、俺の弟なんだろ?」

「俺にとってはただのおもちゃだけどな」


自分の弟だから。

それしか、多分理由はない。
それ以外に俺が誰かを守りたいだなんて、思うはずがない。
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