キミの首輪に、赤い糸を。
「ねぇ、きさらぎ、見て見て」


真白と過ごすようになってから、2ヶ月ほど経とうとしていた。

二人で街を歩いていると、ギターを持って歌っている人が目に入った。

その歌はありきたりで、足を止める人なんか一人もいなかったけど、俺らはなぜか足を止め、聞き入っていた。


「...きさらぎ」

「ん?」

「...元気になるね、歌って」


真白は目線はそのままに、俺に言った。


「...元気に、か」

「ならない?」

「...よくわかんねぇ」

「...じゃあ、僕がきさらぎが元気になる曲を作ってあげる」


真白はそう言って俺を見て微笑んだ。

俺を、元気に?
なんで俺なんかのために。


「いい?」

「...あぁ」


そう返事をすると、真白は嬉しそうに笑った。
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