キミの首輪に、赤い糸を。
その日から真白はショーウィンドウに飾ってあるギターを見るようになって、俺はそのギターを購入することにした。


「はい、真白」

「ん...?」

「プレゼント」

「えぇっ、なんだろ」


真白は驚いたように包みを開け、その中身を見て、わぁっと歓声をあげた。


「ギターだ!ありがと、きさらぎ!」

「どういたしまして」


いつの間にか借金の返済より、真白の笑顔の方が優先したくなっていた。

それから話はすぐに進む。

何度も弾いて上手くなった真白街中でギターを弾いていると、一人の男性にスカウトされたのだ。

俺はその小さな事務所に入れてもらい、真白のマネージャーになった。

ホストクラブでの仕事も辞めず、マネージャーにもなり、毎日が忙しい。

だけど、それでいい。
もう、これ以上何も思い出したくない。

それから5年後、全てを忘れてしまっている真白を責めたくなってしまう自分を知らずに。
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