キミの首輪に、赤い糸を。

「もう一度、歌を作りたい」

それから私たちは、ケイさんに頻繁に会いに行くようになった。


最近何があったかを事細かに話す陵さんと、楽しかったことがたくさんあって話尽くせないのか捲し立てるように話していく真白。

そんな二人の姿を、私はケイさんに話す。

お互いが好きな音楽を相手に紹介すると言ってCDを見せ合ったのにそれが全く同じだったこと、
服を共有したいと言って交換してみたのにサイズが全く合わずに残念がっていたこと、
最近陵さんが料理が出来るようになろうと奮闘して、オムライスを作ってくれたおかげで、真白が玉葱嫌いを克服したこと。

話せばきりがなくて、話せば話すほど、兄弟なんだなぁと微笑ましくなる。

そして最近変わったことと言えば、真白が前より頻繁にギターを弾き始めたことだろうか。

静かな曲調、暗い曲調、柔らかな曲調、弾むような曲調。

真白は何度も同じメロディーを弾く。
何度も何度も、そんなメロディーを繰り返す。

そのメロディーを、私は陵さんと聴いていた。

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