キミの首輪に、赤い糸を。
如月さんが部屋を出て行き、ソファの上でじっとしていた彼を見る。


「えっと、真白...?」


呼び捨てをするには少し抵抗があるけど、彼、真白はすぐに反応し、「んー、何?」と首を傾げた。

やっぱり年齢と行動が合ってない気がする。


「いや、なんでも...」


試しに呼んでみただけだからそういうと、真白は私を見て「和咲?」と聞いてきた。


「あ、うん。和咲だよ」

「じゃあ、和咲って呼んでもいい?」


お互い呼び捨てなんだ。
まぁ、いいけど。


「うん。いいよ」

「よかったー」


彼はニコッと笑って、クッションを抱き締める。


「もう大丈夫なの?」


さっきよりは楽そうだけど、まだ熱はあるんじゃないかと思う。


「うん。和咲のおかげで随分楽になった!ありがとう」


無邪気な笑顔は本当に小さな男の子みたいだ。


「ねぇ、和咲」

「何?」

「...僕に、してほしくないことある?」

「してほしくないこと?」

「うん」


あ、そういえば真白は、私の言うことを全て聞くんだったっけ。


「うーん...なんだろ。たった一週間だしなー。あ、今日みたいに雨に濡れて体調を崩さないことかな」


私のため、というより、真白のためだけど。


「うん。分かった。もし僕がその約束を破ったら、家から追い出していいからね」


真白は容姿に似合わず笑って残酷なことを言う。

追い出すなんて、そんな酷いことする気ないよ。


「そんなことしないって、さすがに」


私がそう言うと、真白は少し切なげな表情で笑った。
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