瞳の奥の真実
「ごめん、おまたせ」

「ううん」

「岡崎に遠慮してもらっちゃった。今日は夏樹と二人で帰りたいって」

「そうなんだ」

「久しぶりだからさ~」

 水沢くんは嬉しそうに、私の手を握ってきた。

「そうだよ。そのうち言っちゃうよ?禁断のあの言葉」

「禁断のあの言葉?」

「私とバンドとどっちが大事なの?あはははは」

「わ~それ言われるのきつい!」

「ウソウソ、そんなこと言わない。だって私、フェリスの大ファンだもん。活動してくれないとこまるし」

 水沢くんは急に、私の肩をギュッと抱いた。

「なに?どうしたの?」

「今日の夏樹、素直でかわいい」

「え?」

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