夢中にならない。
1.新垣進
悠と別れたことなど気にもせず、麗は翌日いつもどおり出勤した。

麗は固い職業で周りに男しかいない中連中を越し、今では連中を仕切る位置に立って、生活を充実させていた。

ただ職業柄、女が上司であるのを嫌がったり、女である麗を見下す上司は多い。

特に独身であるためあたりは厳しい。




「おはよう。笹原くん。」

「おはようございます。」

麗は上司である新垣に挨拶を返した。新垣は麗のことをよく思っていない上司のひとりで、麗に恥をかかせる機会をいつも伺っていた。

「笹原くん。君は仕事は優秀かもしれないが、結婚はどうなんだ?そっちの方も優秀でいかないとな。」

麗の席に歩み寄ってきて言う。立派なセクハラ発言だ。

普通だったら恥辱に耐えないこの言葉も麗にとってはなんともない。












むしろ昨日悠と別れフリーになった麗にとってはちょうどいい遊び相手になるだけだった。
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