夢中にさせてあげるから《短編》番外編追加
だから化粧は、薄くファンデを塗ってササッと眉毛を描いて、口紅はグロスをごく少量。

これで終わり。

アイメイクは面倒だし一切しない。

「うーん」

私の声は酒で焼けたのか、掠れていた。

その自分の声に、我に返る。

……決めた。

私、女子力アップすることにする。

で、三ヶ月後に彼氏をゲットし、見た目だけが抜群の隣の部屋の性悪男を見返してやる。

私は飛び起きると、新しい風を入れるために窓という窓を全て開け放った。

それからバルコニーに出て、活動し始めている街を見渡しながら、菜穂に電話をした。

『……乃愛……早いね……なに……?』
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