鬼社長のお気に入り!?
「まぁ、今回は以前から親交のあった八神くんにお願いしたんだけど、よろしく頼むね」


「はい、任せてください、桐生電機なんかよりも断然いい講演を約束しますよ」


 桐生電機なんか……か。


 八神さんのさりげない言い方に小さな引っかかりを覚えたが、さして気に留めることもなく、気が付くとあっという間に講演が始まる時刻が差し迫っていた。


「杉野、講演で使う学生用の資料を三枚ひと組で五十部刷ってきてくれ」


「はい、わかりました」


「このUSBに入ってるファイルだ。ひとつしかないからすぐわかる。俺は石川教授と少し話があるから」


「了解しました!」


 いまだに先ほど運んだ本の重みで腕が痺れている。そんな手で八神さんからUSBを受け取り、私は課せられた雑用をこなさなければならない。
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