鬼社長のお気に入り!?
「大手企業勤めだとゴミの捨て方も忘れちゃうのかしらね」


「やめなって、聞こえるよ」


 もう聞こえてますけど――。


 私は居心地が悪くなって、自販機の前のゴミを捨てに行くことにした。


 ぽっと出の自分を受け入れてはくれないかもしれない。それは想定内だった。けれど、それを目の当たりにするとやっぱり傷つく。そう思いながら廊下の角を曲がろうとした時だった。


「八神さん、いったいこの先どう考えているのか教えてくれないかな」


「どう、とは?」


 あれ? あの声は加納さんと八神さんだ。何を話してるのかな――。


 そっと覗くと、窓を開けて外に煙草の煙を吐き出している八神さんと、長椅子に座っている加納さんの姿が見えた。
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