鬼社長のお気に入り!?
「私、兄さんにはものすごく感謝してるの、感謝してもしきれないくらいにね。一番面倒見てくれたし可愛がってくれたし、アメリカによく手紙や電話もくれた。小さい頃にお金がないからって誕生日に手作りのおもちゃをくれたの、飯田のご両親からもなに不自由なくなんでも買ってもらったけど……あの時作ってくれた兄さんのおもちゃの方がよっぽど嬉しかった。それで兄さんがものを作るデザイナーとして有名になっちゃったからびっくりよ」


 八神さんは確かに面倒見はいい。自分の会社の社員には常にケアを怠らないし、何かあったらすぐにバックアップしてくれる。見ていないようで見ている八神さんに私も知らない間に惹かれていた。


「でも、兄さんがドイツに留学して帰国してきた時、まるで別人みたいだって思った」


「別人……?」


「離れていても血のつながった妹だもの、そういうのなんとなく勘みたいなのでわかるの……デザイナーの知識を深めるために海外で勉強するってあんなに輝いていたのに、ドイツから帰ってきて、フリーランスで仕事をしている時とか……まるで獲物を狙う獣みたいな目をしてて怖かった覚えがあるの。ねぇ杉野さん、蓮ちゃんは……まだ桐生のことを許してないんだよね?」
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