鬼社長のお気に入り!?
「私は入社した時から桐生さんと同じ部署にいるからわかるけど、私が入社した当時は結構デザイナーもいたんだよ、けど、桐生さんに仕事や手柄を横取りされるってみんな愛想つかして辞めちゃったんだ」


 美智は「はぁ」とため息をつきながら頬杖をついた。美智は始めからデザイナーとして開発企画部の社員だったから、私が知らないことも知っている。今は落ち着いてはいるが、二、三年前はデザイナーの入れ代わり立ち代わりが激しく、かくいう私もそんな欠員が出たからこそ今の部署に入れたようなものだ。


「うん、でもあんまり桐生さんを悪く言わないであげて」


「愛理がそう言うなら……わかったよ」


 他の社員がなんと言おうと、私には桐生さんに恩がある。美智も私がいきなり総務部から異動してきた経緯は知っている。だから桐生さんに頭があがらない気持ちもわかってくれていた。
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