鬼社長のお気に入り!?
 桐生さんはナイフで私を刺そうとして、それを八神さんが庇ったのだ。


 私は呆然唖然として桐生さんを追いかけることもできず、徐々に支えきれなくなった八神さんとともにへなへなとへたりこんでしまった。


「こんなのかすり傷だ。別になんともない」


「なんともないわけないじゃないですか! 人呼んできますから!」


 力の入らない足を奮い立たせて立ち上がろうとした時、ふと八神さんに腕を掴まれた。


「人を呼ぶ前にこれだけ言わせろ」


「え……?」


「お前が好きだ……馬鹿みたいにな」


 まるで最期の言葉のようなセリフに堪えていた涙が溢れてくる。


 こんなところで……もし八神さんが死んじゃったら――。


 そんなの嫌! 絶対――。


「こんな時に! こんな時に何言って……私だって……私だって八神さんが好きです」


「それ、本当か……?」


「本当ですよ! だってキスしたじゃないですか」


 八神さんの告白に私が応えると、安心したように八神さんは目を閉じた。
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