鬼社長のお気に入り!?
『それで? その仕事とやらはうまくいっとるん?』


「それがさぁ、今、仕事しとらんのさ……」


『あぁ?』


「辞めちゃったっつぅか、この前さ」


『愛理! そんなええ加減な事するために東京行ったんちゃうやろ!?』


 思わず耳を遠ざけたくなるような大声が耳を劈く。


「そやけどさ……」


『一週間以内に新しい仕事みつけれへんのやったら、実家に帰ってきなさい!』


「えぇっ!?」


 そう母は容赦なく言うと電話を切った。


 久々に実家の三重に帰るのもありかも。と思ったが、とっとと仕事を見つけたほうがいいに決まっている。


 母の通告で早々に私の決断が迫られた。ゆっくり職を探す悠長な時間はない。私は早速この前ジェントルマンさんからもらったメモに書かれた電話番号を回した。
< 83 / 367 >

この作品をシェア

pagetop