1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

トラウマ


 翌日。

 あれから家に戻ってすぐに布団に入りましたが、なかなか眠れませんでした。
 お陰様であくびをしながらの登校です。

 うぅ、情けない…。

 神野くんは何であんなに悲しそうにしていたんでしょうか。
 あの時、出会ってわずかしかないけど、初めて神野くんに拒絶された。
 それが、どうしてこんなに苦しいのか分からない。

 なんだか朝から憂鬱ですね。

「晴野」

「うわっ!?」

 背中突かれました。くすぐったくて苦手なんです。
 それに変な声でましたよ!?

 振り返れば、神野くんが噴き出して笑っているところでした。
 もとはと言えば神野くんのせいなのに、それを笑うなんてひどいですね。

「晴野、可愛い声してんじゃんか」

「うるさいです」

「でた、晴野のネコ」

 ネコとはなんですか!私は今機嫌が悪いんです。

 神野くんを無視して歩き出すと、神野くんは隣にやってきました。

 むぅ、あまりに当然のようにやって来るので反論できないですね。
< 151 / 313 >

この作品をシェア

pagetop