1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

変な日


 話し終えた神野くんの表情は悲しいというよりも、どこか安堵しているみたいでした。

 初めて聞く神野くんの過去。涙は流れませんでした。

 でも、嬉しかった。

 何が嬉しかったのかって考えたら、話してくれたことが嬉しかったみたいです。

 昨日の痛みがすぅって溶けて消えたんです。
 でも、どうして情報屋の私に話すことが出来なくて、晴野蓬には話すことが出来るんでしょう。

 よく、分かりません…。

 でも、情報屋としての私は神野くんの幸せを守れたんですね。

 神様だなんて言い過ぎだとしか思えませんが。
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