1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

 情報屋は約束通り後日また来て金を置いて行ってくれた。
 何回かそれが続いて、ある日小学生の奴らが中心になって情報屋にお礼を言ってた。

 それ以来、情報屋は施設長にこっそり会いに来るようになってた。
 今でもそれは変わらなくて、1か月に1回こっそりやってくる。

 中学生の俺にとって、情報屋はほんとに神様みたいだった。
 あの人がいるから今でもおひさまの家が残ってる。

 俺は慌てて進路をここの高校に決めて、中学と卒業と同時に施設を出た。
 私立高校に進学したから、保護対象じゃねぇし、親父から充分な仕送りがあったから。

 施設長は反対してたけど、押し切った。

 で、今は情報屋探しながら高校通ってるってわけ。

 あ、でも俺情報屋のボディーガードになれたんだぜ。情報屋を守れれば、施設長に間接的だけど恩返しが出来る。
 俺が直接金持って行っても、施設長受け取ってくんねぇから。
 だから、情報屋の仲間になろうって思ってたんだ。

 施設出てから1回しか顔見せてねぇから心配してるだろうけど、俺は大丈夫だって思わせてぇんだ。

 施設長は今だって施設にいる子どもの母親だから。

 小さい奴から母親奪いたくねぇからさ。


秋空side END
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