1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

抜け出した先


「晴野、昼なに食う?」

「神野くんは何が好きですか?」

「俺選ぶと量多いぞ」

 えっと、学校抜け出して今、隣町のショッピングモールにいます。

 あれから教室にかばんを取りに行って、その足でここまで来ました。
 なので制服のままです。
 でも、なんだか少しすっきりしてここに居ます。

 神野くんは意外に大食らいなんですね。

「いいですよ。神野くんに合わせます」

「言ったな。後悔すんなよ」

 にやりと笑った神野くんに思わず笑ってしまいます。

 なんか、企んだ笑顔神野くん変です。いきなり笑い出した私に神野くんは表情を歪めました。

「なんだよ。気持ち悪」

「神野くん暴言反対です」

「なら、黙ってついて来いよ。晴野ぜってぇ気持ち悪くなるから」

 神野くん御用達?のお店はどんな大盛りなんですかね。

 ショッピングモールの1階にある飲食店の立ち並ぶエリアに来ると、神野くんは迷わずとんかつ屋さんに入りました。

 うわぁ、お昼から重い…。
< 245 / 313 >

この作品をシェア

pagetop