1人ぼっちと1匹オオカミ(上)

「なぁ、俺嫌われてね?」

「え?」

 こっそり耳打ちしてきた神野くんの言葉に、まさかと智希を見ます。

 そういえば、智希の機嫌が悪くなのは決まって神野くんがいる時ですね…。

 はて、神野くんが智希に関わっている時間なんてなかったはずですが…。

「よも、ともヤキモチ焼いてるのよ」

「ヤキモチ!?」

「大好きなお姉ちゃんが、男の子といて面白くないのよ。今だって秋空くんと対抗するみたいにムキになってるでしょ」

「あ~…それは嫌われますね。俺…」

 お母さんの言葉に妙に納得した神野くん。

 まさか智希がヤキモチを焼くとは…。どうりで抱っこしたら離してくれないわけですね。
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