未来の1/fragment






丸林と別れた後、夏海は一人で図書館に入った。


リュックを机に置き、本棚から本を選んで席に戻ろうとした時に、ふと窓越しから外の景色を眺め、止まない雨が空から降り続いていた。


窓のそばに立つ木の葉っぱの上に、乗っていた雫が落ちる瞬間を見て、さっきの丸林との会話のやり取りを思い出していた。



『なぁ、俺の未来って見えるのか?』



丸林からの一言がどうも気にかかる。あの時私は彼にこう言った。



『私が知ってたとして、教えたら面白くないでしょ?』と…



彼に向かってああいう強気な発言をしてきたが、実際には彼だけが未来を見る事が出来ずにいた。


だが、彼の暗い過去に触れてしまった…。



彼の身に何が起ころうとしているのか、夏海は見当もつかなかった。






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