未来の1/fragment
夏海は体育館の入り口の重たい扉をゆっくり開けた。
制服姿でシャツを腕まくりして1人コートに立ち、ジャンプサーブの練習をする堀澤の姿があった。
手持ちのボールが無くなり、堀澤は向かい側のコートへ移った。ボール拾いをしていると、入り口から夏海が歩いてくるのが見えた。
「最近、学食で見かけないなと思ってたら、昼休みに一人で練習してたのね」
コートに転がっているボールをカゴに入れて、夏海は体育館のステージに腰かけ、両足をブラブラさせた。
堀澤はボールを床に叩きつけながら、夏海のそばへ歩み寄る。
「この間の丸林との衝突した時、本当に怪我とかしなかった?」
「あぁ、どうも無いよ。この通りピンピンしてる‼」
「︎そっ…ならいいけど」
夏海はブラブラさせる両足を見ながらそう返事をした。