回り道でアイス

「なあ、ちょっとそれ食べさせてよ」


「え……ここで?」


 提案は不意打ち過ぎて、思わず声が裏返った。


「もちろん」


「あの、でもこれ食べかけだし……」


「別にそんなの気にしないって。あんまりにも広瀬サンが美味そうに食べてるのが羨ましくなっちゃってさ。こんなに暑くて怠い日なのに涼しい顔で笑いながら歩いて来るし」


 嘘。
 そんなにヘラヘラしながら歩いていたんだろうか。
 ただ何となく開放的な気分になって、いつもはしない買い食いなんかしてちょっと浮かれていたのは確かだ。それを見られていたというのはかなり恥ずかしい。


「誰にも言わないからさ、一口ちょうだい?」


 俯いた顔を金網越しに覗き込まれるように言われると、もう逃げ場がなかった。

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