追憶の彼方に

✩✩盗み聞き?


私は、優里に全てを話した。
優里は、最後まで黙って聞いてくれた。

「一華。
私は、不倫をしなさい。
とは、言えないけど。
一華は、波瑠さんと離れられないと
思うんだ。
波瑠さんは、離婚するつもりはないの?」
と、言った。

「わからない。
波瑠は、そこまで言わなかったから、
でも、離婚するつもりは、
ないんじゃないかな。」
と、答えると

「そうか。
でも一華、少し様子みたら。
どのみち、直ぐに結論でないでしょ。」
と。

「うん、考えてみる。」
と、返事をしていると‥‥‥‥

「考える、必要はない。
そんな男にお前を渡さない。」
と、後ろから言われて‥‥‥

びっくりしながら
私と優里が振り向くと

‥‥‥‥‥結城課長がいて‥‥

「つけたのですか、課長?」
と、優里。

「盗み聞きするなんて‥‥」
と、私。

「ああ、悪いとは思ったが
一華の様子が変だったからな

つけたのも、話を聞いたのも、
悪いと思っているが、
妻帯者なんだろ?
止めろよ、そんなやつ。

それに、そいつは、
一華を棄てて、女を作った奴だろ。」
と、言われて

一華は、涙を流していた。
そんは一華を見て
優里は、
「どうして、そんな酷いことを
言うんですか。
そんなこと、
一華は、わかっているんですよ。

それでも、二人は愛しあってるから
苦しんでるのに。
簡単に言わないで下さい。」
と、言うと。

「愛?‥‥‥それが···か?
過去にとらわれてるだけだ。」
と、課長は言った。

優里と課長の言い合いは続いたが、
私は·······

  本当に···

“ 過去に囚われてる ”
      だけなのだろうか·····
     
     わからなくなっていた。
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