追憶の彼方に

✩✩失う


大学に入学当初は、
お互いに行き来して、
電話もメールも、
まめにしていた。

それが、だんだん慣れてくると
波瑠は飲み会だ、
弓道のサークルだと······

私と会うより仲間といる時間を
大切にするようになっていった。

波瑠は、
一華との時間を疎かにした。


波瑠と中々、会えない、
連絡もない‥‥
一華は、どうしたら‥‥
良いのか、わからなくなり

一度、波瑠の大学に行ってみた。
すると、波瑠が、沢山の友人に囲まれ
楽しそうにしていた。

その上、波瑠の腕には
女の子の腕がからまっていて、
波瑠も優しそうに、
その女の子を見つめていた。



そんな、姿をみて‥‥‥
一華は‥‥
波瑠の気持ちは、
もう、自分にはなと‥‥

声をかけることもできずに
········帰った。



それからの一華は、
波瑠の事を考えることも
追うことも止めた。

咲希とは、大学も一緒だったから
咲希は、とても心配してくれて
時間が合う限り一緒に
居てくれた。

私は、バイトを初めて
忙しく過ごして、波瑠の事を
考えないようにした。



一方波瑠は········

一華のことは大好きだが
大学の友人といると毎日が楽しくて、
一華との時間を作ることも億劫となって
放置するようになっていた。


仲間の中で、やたらと俺に
引っ付いてくる女がいた。
木内 紗良(きうち さら)だ。
誰かの女か、知り合いかと
思っていた。

サークルの飲み会の時も居て
翌朝目が覚めると
紗良と二人、裸で寝ていた。

俺は、何て事を‥‥‥‥‥。
その時になって、
初めて一華を失うと
恐怖を‥‥感じた‥‥‥


だが、一華に言い訳することも
出来ないように‥‥‥‥‥‥


紗良が‥‥‥‥妊娠した。


俺は、両親に
紗良が妊娠したことを話した。

だが、一華の事を
本当の娘のように
可愛がっていた両親。

母からは、口も聞いてもらえず
父からは、怒鳴られて、
「二度と家に帰って来るな
自分できちんと責任をとって、
生きていきなさい。」
と、言われた。

俺は、責任上
紗良と入籍をした‥‥‥
それは、大学三年の時だった。


生まれた子供は、
女の子で、陽向(ひなた)
と、名付けられた。
紗良に対して、愛情はないが
陽向は可愛いかった。

でも、俺の両親は子供ができても
俺達に会うことを拒み
「今後一切、連絡してくるな。」
と、言われた。

実家に帰ることも許されず
紗良を愛することもできず
俺の心は、壊れて行った。


紗良の実家に、
行くことはあるが、
俺は紗良の両親が、
苦手だった。


俺は、なぜ、一華を大事に
しなかったのかと
自分を呪った。

一華とは、音信不通のまま
     自然消滅となっていた。
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