君の残り香、俺の残り火
「ダイちゃん遅いよー?」
俺は遅れて来たダイちゃんに声をかける。
「ブハハ!悪いな!風呂上がりにアイス食べてたからな!」
今でもよく覚えているダイちゃんの豪快な笑い声。
実は受験失敗と留年で年齢は二つ上である。

ヨシもこちらへ寄ってくる。
「ダーイィッ!おせーよ!終わっちまったよ!なにやってたんだよお!」
「ブハハハ!悪かったなヨシ坊!帰ってうちで飯でもくうか!」
この二人の会話はいつも騒がしくて、田舎で育った俺にはこんな騒がしい仲間も夜の街灯も新鮮で仕方なかった。

ちなみに、ヨシとダイちゃんは近所同士で小学校からの先輩後輩であり兄弟みたいな感じ。
今は学年は被っているけどやっぱりその関係は崩れないらしい。

「…あれ?ジョーは呼んでないのか、ヨシ。」
「いやー、ジョーは喧嘩に呼んでも楽しめないっしょ!」
「ああ、それもそうか…。」
ジョー、本名は安達丈(アダチジョウ)。
ゲームやマンガが大好きで喧嘩には滅多に顔を出してこないもう一人の俺たちの仲間。
「ブハハハ!ジョーも飯に呼んでやれサスケ!」
「おー、まじ?じゃあ呼ぶわー。」
俺はポケットから携帯を取り出す。
当時はまだスマホなんか持っている人は少なく高校生もガラケーが主流だった。
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