海の底の君へ。―天国の君へ―
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「紫夏!!!
もっと引き上げて!!!」
「はいっ!!!」
「「1・2 はいっ!」」
チア部特有の掛け声をかけながら
動きを合わせる。
終わった後すぐにマナ先輩に呼ばれる。
「紫夏!
どうした?調子悪い?」
「………大丈夫です。」
「大丈夫じゃないでしょ、その顔。
真っ青だし、さっきからフラついて
軸ブレブレだよ。」
私はトップをやっている。
トップとは人の上に乗ったり、
人の上でジャンプしたりする「上」の人。
トップが倒れたりしたら大怪我になる。
マナ先輩はきっとそう言いたいんだと思う。
正直、今日は熱もあったし貧血気味だった。
おまけにこの暑さだ。
「ちゃんと、本当に無理そうだったら
マナ先輩に言います!」
「はぁ……
紫夏はやるというと聞かないから困る」
困った顔でマナ先輩はそういった。
「わかった、ほんとに無理って思ったら
ちゃんと言ってね?
無理は禁物!」
「はいっ!」
実際は調子が悪いなんて言えない。
みんなの視線が怖いから。
でも仕方ないの。それが、チア。
その無理がいけなかったんだ。
マナ先輩はこの後の事を予想していたのかもしれない。