特ダネには真実を
「もうすぐ選挙ですね。碣屠實さんは他のと違って紳士な態度だから、私応援してるんですよねー。」


「他のって…」



なんて言い種だ。



と秀滝は思うが、潮が碣屠實を贔屓にする理由を知らないので仕方がない。


潮も関係がバレて迷惑がかからないように、一県民として他人行儀に話すように努めている為だ。



「紳士にも裏の顔があるかも知れないよ。」


「え?」



ニヤついた締まりのない顔で、噂好きな主婦の様に幄倍は言う。



「俺も詳しくは知らないんだけど、結構黒い噂があるらしいよ。政治部が言ってるの聞いた。」



クリーンなイメージとは裏腹に、私生活ではプレーボーイだとか。


寄付金たんまり集めて、それで豪遊してるとか。


ヤの付く人達と仲良しだとか。


あの年齢で5年連続当選とか、絶対何かあるとか。



「そんなことないですよ!それ、ただの嫉妬じゃないですか。あんなに素晴らしい人を素直に褒めれないなんて!政治部もちゃんと調べないと。何やってんですかね!」



まさか碣屠實に根も葉もない、そんな噂があるなんて。


潮は怒りで声を荒げる。
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