特ダネには真実を
「先輩。」



潮は秀滝を呼ぶが、返事は無い。


秀滝から伝わってくる速すぎる鼓動が、逆に潮を落ち着かせ状況を把握出来るまで冷静になれた。



「先輩、離してくれませんか?ちょっと苦しいです。」


「わ、悪い……!」



勢い余って、力を入れてしまったらしい。


そして、自分のしたことに今更恥ずかしさが込み上げて、素早く潮を離した。



「ふっ、ふふふ…」


「笑うな……」



秀滝の行動が余程可笑しかったのか、潮は吹き出すように笑う。


ばつが悪そうに、秀滝は視線を逸らした。



「あ~~!もういいです!」


「み、南能?」



話を終わらせようとする単語を叫ぶように口にした潮に、今度は秀滝が動揺する。



「先輩。私、頭良くないんで、囃噺さんとのこととか難しいことは分かりません。でも、先輩が好きって言ってくれるなら…、言ってくれる限り、私は先輩を信じます。ていうか、信じたいです。」



「南能…!」



「それと、16年前から好きだったの、先輩だけじゃないこと忘れないでくださいね!」



ニッコリ笑う潮は、16年前から変わらないもの……、いや、それ以上の笑顔だった。
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