So Far away
終章
目的地へは、あのときとは違って腹が立つぐらいなにも問題なく着いた。イヤホンを片付け、キャリーバッグを引き、個室から出ていく。
天井の方からは到着時のアナウンスが流れていた。
出口の方には降りる人が列を作っている。
その最後尾に並び、何度見たか分からないが、私は手紙をまた見返した。
文面には消しゴムのあと、インクのあと、なぜか醤油の跡も滲んでいる。
そして、真ん中に大きく、単純な一言が書いてあった。

『大好き』

彼が最後に送った、珍しい恋じみた言葉だ。

「ごめんね。」

心の中で、そう謝る。
無愛想な彼女なんて最悪だったでしょ。

「寂しいよ。」

もう、あなたに会うことが出来ないなんて。

「私も大好きだよ。」

この先で、私はあなたを忘れなきゃいけないと言われたけど

もう少し、あなたを覚えさせて。

< 9 / 9 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

こちら、メディア検閲科

総文字数/14,480

青春・友情14ページ

表紙を見る
あなたの理想 私の理想

総文字数/2,195

ノンフィクション・実話8ページ

表紙を見る
極夜の人

総文字数/0

ファンタジー0ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop