O♡L
「おやすみなさい」


ゆっくりとタクシーのドアが閉まる。



デニムのポケットに手を突っ込んだまま、タクシーを見送る課長の姿が次第に小さくなっていく。


タクシーは角を曲がり、課長の姿は見えなくなったけど、課長の大きな手の温もりは…まだ感じられるような気がした。



あたしはなぜか、もう見えないはずの課長の姿を、タクシーの窓越しに探していた。
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