空よりも高く 海よりも深く
 神殿内にある祭壇は一段高くなったところにあり、豊かな葉にたわわになる神木の像が、窓の向こうの光を受けながら人々を見下ろしている。

 人々はその像の前に跪き、そしてブーケを捧げていた。

「神の御子であられる惑星王に祝福を」

 そう言って一様に手を組む人々に倣い、グリフィノー一家もブーケを捧げた後、跪いて両手を組み、祈りを捧げた。

 祈り終えて顔を上げると、ユグドラシェル像の隣に皇家の紋章の垂れ幕と、若き皇とその皇后の姿絵が飾られているのが見えた。

 紺色の髪に紫暗色の瞳を持つ美丈夫と、ピンクブロンドの巻き毛に赤い瞳をした美しい少女。これが今代の惑星王と皇后。

「惑星王の神々しさは相変わらずですけれど、お后様も美しい方ですのね」

 隣で祈りを捧げていた婦人たちの声が聞こえてくる。

「ほんと、素敵ねえ」

「でもお后様は皇家の方ではないって本当?」

「そうなの、ギルドの出身なのですって」

「えっ、ギルドの?」

「そう、なんでも武術大会で優勝された拳闘士の方なのですって」

「こんなにお美しい方が? へぇ~」

 その会話に、ピクリとアリアが反応する。

「ほう、皇后陛下は拳闘士だったのか。皇都の武術大会で優勝ということは、実質世界一強いということだな。……一度手合わせしてみたいものだ」

 美しい微笑みを湛える皇后は、まだ少女の面影が残る幼い女性だ。年は16と聞いている。アリアが『セルティアの英雄』という名を拝した頃と同じ。だがこちらは国で一番、向こうは世界で一番。同じ職業だったせいもあるのか、妙なライバル意識が芽生えた。

 そんなことを思いながら姿絵を見上げていると、隣にいたランスがクスリと笑みを零した。

「皇后陛下にそんなことを言ったら不敬罪になるよ」

「む、そうかな」



< 125 / 242 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop