まっすぐに
小さな炎
「え?!」
洋子は固まった。
今日は会社の面接日。
ホームページに書かれた住所に来てみると、そこには古びた小さな平屋の家しかなかった。
家の周りにはぐるっと生け垣があり、庭に草は生えておらず、自転車とバイクが一台ずつ止められている。
(誰か住んでるみたい。)
軒下や縁側には物も出ておらず、窓や網戸も壊れたところはない。
(私が幼い時に家族で住んでいた社宅を思い出すな。)
2DKの小さな平屋。風が吹くとガタガタ揺れて壊れそうだった。それでも家族が肩を寄せ合って暮らして居たことはとても幸せだった。

(とはいえ、こんな所が会社なわけがない!!)
洋子はスマートフォンを取り出してもう一度地図を調べた。
(やっぱりここ?会社潰れたのかしら?番地の書き間違えかな?)
洋子はこの平屋の周りをもう一周することにした。
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