蜜愛フラストレーション
改めて思い返すと、付き合っていたあの頃も、優斗は私を間接的に守ってくれていた。
それに気づけなかった私と、遠回しに気遣いをみせる彼。少しずつその溝が広がったのだろう。
五十嵐さんは入社当時からわがまま放題だったと聞いている。
その最たるが優斗の配属決定を待って、裏口で広報から異動したこと。
優斗と同期の私は、彼にべったりの五十嵐さんを遠目に見て呆れ返っていたほど。
ゆえに私たちが付き合い始めたことを嗅ぎつけると、その瞬間から彼女は私に牙を剥く。
社内メールは彼女からの迷惑メールで埋まるようになり、会う先々で嫌味の応酬に遭う。
スマホやPCのメールアドレスにも私を中傷するメールが入り、心休まる時間は次第に奪われていった。
それでも優斗には言えず、誤魔化してやり過ごした。——この事実を告げれば彼が傷つくから言わない、と。
いつか止むだろうと達観して。そのうち相手も諦めるだろうと思っていた。……そんなに甘くないと気づくのは、すぐのこと。
優斗と一向に別れようとしない私に、五十嵐さんは憎悪を募らせていたのだろう。
嫌がらせはさらにエスカレートし、脅しや恫喝まで加わって。私は徐々に、ひとりでの通勤や外出に恐怖を覚えていく。
それでも、当時の私は我慢を重ねた。——優斗を取られるほうが辛い。理不尽なものに負けない、と。