bitter and sweet－主任と主任とそれから、私－
「結構、一緒にランチ行ったりしたのに、彼がいることすら秘密にされてました」

ため息と同時に香奈子先輩に愚痴ってしまう。

そんな愚痴も微笑んで受けいれてくれる先輩が女神か天使か仏様のように見えてくる。


「そりゃ、ショックよね。それに、やっと出来た後輩がいなくなって、一番下に逆戻りな訳ね。今日からまた毎日7時出勤するの？」

「本郷主任が出勤するので･･･」


それを聞いて香奈子先輩は苦笑いする。


「本郷主任は別にひかりがゆっくり来ても、怒らないわよ。彼は主任たるもの1番乗りで出社して、仕事を始めるという信念があるみたいだから。もう1年目じゃないんだし、いいんじゃないの？」

香奈子先輩のありがたい言葉でも私の意志は変わらない。

そんな私を察して、香奈子先輩は意地悪な笑顔で明るく冗談を言う。

「この際、ひかりも妊娠しちゃいなさい」

「変な冗談、やめてくださいよ。相手がいないんですから」

両手をブンブン振りながら苦笑いを浮かべると最近になってようやく塞がってくれた心の傷が少しだけ痛んだ。

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