bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
「唯野さん、もういいかげんにしろよ。」
「いい加減にするのは、本郷、お前の方じゃないのか?」
そう言うと、勢いよく唯野主任は立ち上がる。
それを見て、その場にいた私たちは思わず息をのむ。
絶対殴り合いになっちゃう!!
主任同士が殴り合いなんてプロジェクトこのままじゃやばいよ。
その時だった。
「二人とも、いい加減にしなさいよ」
両手で思いきりテーブルを叩いて、勢いよく立ちあがったのは香奈子先輩だった。
最年長の前島さんだってこの言い争いを止めることが出来ず、静かに見守っている状況だったのに、香奈子先輩の一言で二人の主任は呆気にとられたように押し黙ってしまった。
「一馬も、駿介も、いい加減にして」
「仕事のことで話し合いなら分かるけど、仕事にかこつけて私情をはさんで喧嘩しない」