bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-

シンとした自販機の前の一角に、唯野主任の大きなため息だけがやたらと響いた。



「ひかり、昔のあいつに似てるんですよ。だから、最初は気になって、好きだと思ったでしょうね。結婚とかを俺に期待しているところまで似ているから、逃げ出したくなったんでしょうね」



切なげで、悲痛な口調でいう唯野主任。



悲しいはずなのに、もはやその感情も出て来ることも出来ずに、私は抜け殻のようにしていた。




「それでも、ひかりは、ひかりでしょう」



きっぱりと、言ってくれた本郷主任の言葉に、私が救われる暇さえ与えないほど、唯野主任が今まで聞いたことのない程の口調で


「お前は、お前たちは俺が守りたいものばかり奪いやがって…」


叩きつけるように言い放った。

 

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