僕を愛した罪








「セイくん、ママのことお義母さんって呼ぶの!?
まるで夫婦みたいだね、あたしたち!」


「……キミも話が早いですね」


「高校卒業したらゴールインしちゃう?」


「…………」


「そんな呆れた顔しないでよ、ふふっ!」





口元に両手を持って行き、緩み切った笑顔を見せてくる彼女。

僕はふ、と笑って、スキップをし始めた彼女の手を握りました。





「せ、セイくん?」


「……ありがと。
今日お父様とあんな話出来たの、あんたのお蔭だよ。

…感謝、してる」


「……セイくん。固い」





いつも笑顔の彼女からは信じられない真顔で言われ、
僕はその場に固まりました。





「はっ!?
固いって何だよ、固いって。

しょうがねぇだろ、元々そういう話し方なんだからよ」


「感謝してる、なんて…固いよ。
普通にありがとう、で良いんだよ。

ていうか、ありがとうなんて言われること、あたしはしていないよ。

セイくんとおじちゃんに仲直りしてほしい。
あたしはただ、それだけだったからね」





それだけの理由で、ああやって言えるなんて。

…僕には、信じられないですね。






「……勿体ねぇよ、俺には」


「うふ?惚れた?」


「キモい。惚れてない」


「相変わらず酷いなぁ。
でも、好きー!」






絶対に言わねぇよ。

ますます惚れた、ってな。

言うか、アホ。







< 134 / 178 >

この作品をシェア

pagetop